

船越英子様(仮称)は、九州でも有数の大地主です。船越家は江戸時代から続く大地主の名家であり、当主は代々、保有している土地を減少させることなく次代に継承していくことを家訓としています。英子様も例にもれず、土地を手放すことに強い抵抗感をお持ちでした。
英子様は、先代様及び先々代様の相続をご経験であり、その際、土地を手放すことなく相続税を納税するため、多額の借入れを行った、という苦しい思いをなさっていました。
このため、ご自身の相続については、相続人である4人の娘様には迷惑をかけたくない、と強く願っており、地元の税理士に相続税対策をご依頼になったのです。
依頼を受けた税理士は、相続税は専門外でしたので、相続税を専門とする税理士事務所を英子様に紹介することとしました。
この税理士は、弊社の会計システムを利用していたこと、弊社には、資産総額50億円以上の事案を経験したこともある、相続税専門税理士がいること、弊社は納税資金の捻出にも強みがあるため、英子様の「土地を手放さず相続税を納税する」というご要望の実現に最も適していると考えたこと、から遠隔地であるにもかかわらず、弊社を紹介することとしたのです。
| 紹介を受けた弊社の相続担当税理士は、早速英子様を訪ね、ヒアリングを実施することにしました。この相続担当税理士は、土地の評価を得意としており、有効な節税策を英子様に提案してみせる、と意気込んでいましたが、英子様のニーズは「節税」にはなかったのです。 | ![]() |
英子様は繰り返し、「土地を手放さず、相続税を納税できれば構いません。」とおっしゃり、相続税の「節税」については、長い年月をかけ、段階を経て複雑な取引を行ってまで実行する気はないことをあらかじめ強調されました。
弊社はお客様のご要望を何よりも優先することとしておりますので、今回は「節税」を中心とした相続税対策ではなく、「資産保全」と「納税資金の捻出」を中心とした相続税対策を提案することとし、土地の評価を得意とする相続担当税理士に加えて、資産運用にも強い税理士である弊社の代表野本が、自ら総括責任者として英子様の相続税対策を担当することとしたのです。

英子様の相続税対策の目的は、4人の娘様に、土地を処分することなく、必要となる納税資金を捻出することにありました。通常の現状分析であれば、いただいた各種資料を基に問題点を分析し、対策案の概要を作成するという手順を経ることになりますが、英子様の場合には、相続税対策の目的が明らかになっていたので、正確な相続税シミュレーションと、効率的な資産運用に必要な事項の調査が、今回の現状分析の目的となりました。
また、英子様は、ご自身が先代様及び先々代様の相続税で非常に苦しい思いをなさっていたため、相続に問題があることは十分過ぎるほど分かっています。
早く楽になりたいので、現状分析に止まらず、対策案の実行まで早急に面倒を見て欲しい。
とのお話がありました。
このため、弊社は現状分析と対策案の作成までをひとつのステップとして行うこととし、英子様に弊社が作成した対策案の内容を判断していただいた上で、実行のステップに移ることとしました。
具体的には、以下のような作業を行いました。
(1) 英子様の相続に対する考え方やご要望を掴むため、数回にわたるヒアリングを実施し、どのように英子様の財産を相続人である4人の娘様に分割するのかを把握した上、相続税シミュレーションに反映させました。
(2) 正確な相続税シミュレーションを作成するためには、相続財産の大部分を占める土地の評価が最も重要であることから、固定資産税納付書とその内訳書を提出していただくとともに、土地の評価を得意とする相続担当税理士が自ら50筆にも及ぶ英子様の全ての土地について現地確認を実施し、正確な相続税評価額を算出しました。
(3) 英子様がお持ちのその他の財産について、正確な評価額を算出しました。
(4) (1)で確認した、4人の娘様それぞれが相続される財産と上記(2)・(3)の各種財産の評価額から、4人の娘様それぞれについて、数十年間に渡る相続税シミュレーションを行いました。
(5) 作成した相続税シミュレーションを英子様にご覧いただき、その基礎としている事項に誤りがないかを確認していただくとともに、必要となる納税資金の金額についてご理解をいただきました。
英子様もご自身の相続に膨大な相続税額が算出されるであろうことは予測されておられましたが、試算された相続税額は、数億円程度にもなりました。
4人の娘様には十分な資金はありませんでしたので、有効な対策案を実行しなければ、土地を切り売りして納税資金を捻出するより他にない、ということになります。しかしながら、節税のための複雑な対策案を実行したいとは思わない英子様のお考えを踏まえれば、手間のかかる相続税対策を提案するわけにはいかず、弊社は四苦八苦することになりました。
幸運にも、英子様ご自身は2億円程度の現金預金をお持ちでした。
このため、
(1)相続時精算課税制度を利用してこの現金預金を4人の娘様それぞれに5,000万円ずつ贈与し、(2)娘様方は、この贈与資金をそれぞれが資産運用することにより、納税資金を捻出する、
という対策案を提案することとしました。
この対策案は非常にシンプルであり、かつ税法上の問題は全く生じません。
この対策案を実行するのであれば、娘様方には、贈与税の負担が500万円ずつ生じることになりますので、「節税」を相続税対策の目的とする場合には、必ずしも優れた対策案であるとは言えません。
しかしながら、
(1)土地を絶対手放さない、
(2)面倒な手続きを踏みたくない、
という英子様のご要望には最も即していると考えられました。
英子様には、「相続時精算課税制度」の内容と手続きを分かりやすく説明させていただくとともに、この対策案が英子様のご要望に最も即していると考えられることを強調しました。
英子様は、「贈与税の負担がかなり生じてしまうことは納得しました。おっしゃるとおり、この対策案なら税務に詳しくない私や娘達でも無理なくやれそうですね。
この対策案を実行に移したいと思います。」とおっしゃいました。
早速、弊社は相続税シミュレーションに加え、安全を重視した資産保全と運用をかねて、10年程度で娘様お一人おひとりが、納税資金を捻出できるシミュレーションを娘様ごとに作成し、提供させていただきました。

当然のことながら、対策案の実行はお客様の判断と責任の下に行っていただく必要がありますので、想定どおりの資産運用成績を達成できなかった場合の責任や、資産運用に伴って生ずる各種リスク(為替リスク、カントリーリスク、価格リスク等)は、お客様にとっていただく必要があります。
このため、納税資金の捻出を目的とする場合には、実行に先立って、弊社はお客様に投資のための基礎知識をまず身に付けていただくこととしております。
資産運用を利用した納税資金の捻出は、リスクがあることは事実です。
しかしながら、「節税」を目的とした相続税対策と比して、税務の知識のない方でも努力次第で実行することができるものであり、十分な時間をかければ、それに見合った効果を得ることができる場合も多いのです。
英子様達も、最初のうちは損をすることが多く不安に思っていらっしゃいましたが、これをバネにして資産運用の知識を増やし、最近では安定的な資産運用成績を残されるまでに至っています。
相続税対策の目的は、「節税」だけではありません。「資産保全」や「納税資金の捻出」も考えて行う必要があるのです。



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